11月13日のNHK Eテレ『日曜美術館「ダリの正体!?」』
(現在東京新国立美術館でダリ展開催中)
出演者に、魅力的な意見を発する方が多い回だった。
特に脳科学者の中野信子さんのコメントにはっとした。
以下、番組の備忘録
脳科学者 中野信子氏
ダリとガラの不思議な関係。
これガラの肖像ですけれども髪の毛全て覆い隠してるんですね。
とても象徴的な絵だなと思いますが。
女性性を全て覆い隠すという意味があるのだと解釈する事が可能でしょう。
女性性を排除したガラの人間的な部分というのを、もしかしたら描きたいのかなというふうにも思えるわけです。
彼女とはもちろん、男女の間柄として彼女の事を愛しているけれども、
”それ以上の部分でもっと自分は彼女の事見ています”という宣言のような絵にも思えますね。
お互いをすごく必要としていた2人だと思います。
その人がもう全面的に自分を頼ってくると。
自分を頼ってくるこの人に私は必要とされてるんだという時のこの快感の大きさってものすごいものがあるわけですね。
いわゆる共依存と呼ばれるもので、彼らはダリとガラというユニットで活動して非常に大きな業績を残していくわけですね。漫画家・イラストレーターの寺田克也氏
あるかのようにウソをつく、すさまじい説得力の持ち主。ダリは、そこにあるかのようにうそをつく。ひとを納得させるかたちでだせる。実際にはない世界を精巧に創り上げ実在するかのように思わせる発想・画力・表現力を持つ唯一の画家。横尾忠則氏
ダリのリアリズムっていうのはね、よく見るとリアリズムを超えてしまって、、、
リアリズムの領域ってやっぱりあると思うんですよ。
籠の中のパンの絵。現実のパンであると同時に、まるで異界からやって来たパンじゃないかと思わせるぐらいに見える。
我々は現実の中に生きてると思ってるけども、実はシュルレアリスムの非現実的な世界の中にも同時に同居してるっていう事ですよ。
リアリズムを突き詰めていくと現実を超えた世界にまでたどりつく。ガラが亡くなってからの絵には肉体的なエネルギーが感じられない。後の方は未完の状態のよう。人間というのは未完の状態で完璧に完結して死ぬわけじゃなくて、未完の状態で死んでいくわけだから正直なんじゃないですか。
ダリの正体を確かめようという気持ちはない。ガラにきいたほうがいいんじゃないか。それでいい。
ダリ展のサイトも面白い。
国立新美術館
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 Googleマップ
2016年9月14日(水)~12月12日(月)
http://salvador-dali.jp/