【コラム】『伊右衛門』と『綾鷹』は、まったく違う商品

長野県営業局が提供している商品開発のセッション『Session信州』第3回。講師セメントプロデュースデザイン金谷勤さん、三島さんのお話で、大切だと思った話を言葉にしておきます。

目次

商品企画で陥りがちなこと

「あたらしい商品を作りたい」と考えた時、デザインやパッケージをどうするか、に商品開発は進みがちだけれど、

それは、最後の最後のところ。

究極にいえば、「デザイン」は理解してもらえるデザイナーがいれば、すむことなのです。(理解すらというケースもありますが)

デザインの前に”中身の部分”思いや骨子、方向性がないと、ただデザイナーに投げて、いいもの作ってもらう、だけではそれって、デザインは、ただのデザイナーの自己満になる。ほんとその通りだとわたしも思います。そしてそこに陥っている事業者さんは多い。

デザインの自己満や、デザインの1人走りだと、いくら成果をあげても、いくら好評でも、

生み出されたデザイン自体、チラシや、ネットショップ、お名刺、それらが悲しんでいるように思う時がわたしにもあります。

ただ漫然と資料をつくっていても
やりたいことを模索していても
とりあえず行こう、というところに行っても
去年と同じことの繰り返し。

商品を深掘りする。
自社を深掘りする。
近しい規模感のところを掘る。
マニアックなものも掘る。
SNSも掘る。

デザインの前に、
その手前のところで、情報が広がるくらいの
「思い」を明確にすること。

思いや、向かいたい方向に、具体性を持たせる。そうでないと、土台がつくれない。

等身大でいい。今の時点でいい。そこから逃げないこと。

そのような企業の思いのシェアが続くなかで、
「伊右衛門と綾鷹は売り方違う。」という講師の話がありました。

同じ緑茶でも、コンセプトが全然ちがうんです。
おきゃくさんは「緑茶」でも、どれにしようか選んで買っている。

日常にとけこむ「緑茶」そのコンセプトの違い

みなさんは、ふだんコンビニにある緑茶「伊右衛門」「綾鷹」をどう選んでいますか?

それぞれの商品で、お会社の強みや思い、コンセプトがぜんぜん違うのを意識したことがありますか?

【伊右衛門】(サントリー)が生まれた背景コンセプト

伊右衛門のサイトから

【伊右衛門】(サントリー)https://www.suntory.co.jp/softdrink/iyemon/

“清々、堂々。清らかなる傑作”
長く親しまれ、信頼される”百年品質”の一番茶
がコンセプトのようです。

日本の伝統・文化とのリンクさせていて
→昔の水筒だった竹筒をイメージしてデザインしたペットボトル
→緑統一パッケージ、上質、京都、日本、のイメージを紡いで生まれた
・●●茶、といったネーミングを避ける。伝統ある味わい深い擬人化したブランド名

といった意図があるようです。

▶︎京都福寿園監修。伝統と誇りを受け継ぐ「茶匠」
・茶匠による目利き
・茶匠による合組
・石臼挽き抹茶

▶︎味のこだわり
・豊かな香りと甘み、穏やかな渋み
(上質な一番茶高温短時間抽出|茶葉焙煎技術で香りを最大限に|沈殿する抹茶)

▶︎色のこだわり
・清々しい緑

【綾鷹】(コカ・コーラ)が生まれた背景コンセプト

綾鷹のサイトから。ほんと急須がコンセプト軸ですね〜

【綾鷹】(コカ・コーラ)https://www.ayataka.jp/
”ごはんと合うのは、急須の味わい。実はそれは綾鷹でした。”
急須でいれたような緑茶本来の<にごりのある色味>と<舌に甘みが残るふくよかな味わい>を実現
ワンランク上の本確定なお茶、がコンセプトのようです。

ごはんと合う緑茶、あらゆるシーンに、ほっと寄り添うおいしさ、がコンセプト

綾鷹
ペットボトルの形状にも、思いがある。

▶︎京都宇治の老舗茶舗『上林春松本店』監修

▶︎「朝摘み茶葉*」を使用し、急須でいれるように、
茶葉を蒸らしながらゆっくりとひらかせることで、
緑茶本来の香り立つ旨みを引き出す

▶︎パッケージデザインは、「茶葉をゆっくりとひらき、
緑茶本来の香りと旨みを引き出す」という綾鷹の価値を体現。
ひらいた茶葉から、
「香り」「旨み」「甘み」「渋み」がバランスよく
引き出される様子を表しています。

暮らしに、さまざまなコンセプトが溶け込んでいる

なにげなくサービスを受けている商品でも、それぞれコンセプトをもって生まれている。日常は、思いのパーツでできているのですよね。


伊右衛門は「長く親しまれ、信頼される”百年品質”の一番茶」を目指している。

綾鷹は「ごはんと合う緑茶」「急須でいれたような緑茶」を目指している。

そんな企業の「思い」のパーツが折り重なって、わたしたちの暮らしを取り囲んでいるのですね。

こういう味方ができるので、こういった事業分析はとても楽しい。

・強み
・思い
・コンセプト

これです。
どの事業も、ご自身が理解することが大切。

メモでした。

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