上野の森美術館『ゴッホ展』で見た『糸杉』の絵の強烈な印象が、頭から離れません。凄かった…。
ゴッホが弟テオにあてた手紙で絵を繋いでいく展示。
どこか修行的に、どこが爆発的に、自分を追いこみ続けるゴッホの初期の絵はストイックでむりやり形を作っているという印象を受け、修行せねばならぬ、もっとたくさん描かねばならぬ、もっともっとデッサンせねばならぬ…とあまりにつづくので
もういいよ..
もうゴッホいいよ..
充分だよ..
だいじょうぶだよ..
そのままで充分だいじょうぶだよ…
とゴッホの背中をさすりたくなりました。
あちこちに移り住んでも自分にたどり着けない苦悩
他の画家との衝突 酷評 自分を探す苦悩 弟への甘え
心を病み療養してもどこか虚勢をはる言葉…。
その先に
『糸杉』の絵がありました。
渦を巻いた空、
点描でうねる木々、うねる雲、
力強い緑、黄色い三日月。
ゴッホがようやくたどりついた”自分の絵”
ゴッホのタッチが降臨する現場に
立ち会ったようでした。
『糸杉』『薔薇』『サン=レミの療養院の庭』
あの三枚の絵が並んだ空間の力の満ちた感じがすごかったです。
音声ガイドの
ドビュッシーやラヴェルの美しい音楽が
さらに展示を盛り上げてくれました。
行ってよかった。力のある感動の展示でした。